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香りのもたらす科学的な効果

嗅覚は脳内において本能に直結する

人間をはじめとする哺乳類の生物は鼻から周囲の空気を吸い込むことで臭いを感じ取ることができます。

動物の鼻の中には嗅上皮という器官がついておりここに香り分子が付着することで内部に浸透し、嗅細胞とその先端にある嗅毛で成分が受容されます。

この受容が起こることで脳に電気信号として香りの内容が伝えられるのですが、脳内で香りを判断する「嗅球」は人の感情を左右する大脳辺縁系に非常に近い位置にあります。

よく香りが本能に直結するという言説を耳にしますが、これは感覚的なことだけでなくきちんと科学的根拠に基づくものなのです。

犬や猫などを見ればわかるように、動物の多くは香りによって安全を確認したり、相手に意思表示をしたりということを行います。

人間の場合どうした動物と比べて外界の認知を視覚に頼る傾向があるので犬や猫ほど嗅覚は大切ではないのですが、それでも香りにより感情が大きく変化をするということは知っておきたい事項です。

大人の嗅覚で社会生活を豊かに

嗅覚が感情に直結する最もわかりやすい例としては、飲食店などから流れる食品の臭いがあります。

強い臭いを発する料理は胃袋にダイレクトに訴えかけてきますので、繁華街を歩いていて店頭で販売されているスナックを衝動的に購入してしまったという経験もあるのではないかと思います。

なお臭いが人の心理に与える影響について初めて本格的に研究をされたのは1991年に発表されたアメリカのリンダ・バックとリチャード・アクセルの論文がきっかけです。

この研究は2004年にノーベル生理学・医学賞を受賞しており、現在まで続く香りの研究に大きな影響を与えています。

ちなみに俗説として「男性よりも女性の方が嗅覚が鋭い」という言説がありますが、これはあくまでも俗説であり嗅覚器官や嗅覚の伝達する脳内の構造には男女の違いはありません。

本能に直結するという点を理解することで「大人のたしなみ」として香りを楽しむことも可能です。

アロマテラピーで最も多く使用されているグッズがアロマオイルですが、こちらには「樹木系」「ハーブ系」「柑橘系」といった分類があります。

「樹木系」ではユーカリやティートリー、サイプレスなどといったものがあり、「ハーブ系」ではペパーミントやローズマリー、マジョラムなどといったものが代表的です。

日本で人気が高いのが「柑橘系」で、スイートオレンジやレモン、マンダリンといった爽やかなものが挙げられます。

以下に、簡単に香りの種類と効果を挙げていきます。
【樹木系】森の中にいるような清々しさが特長。リラックス効果が高い。
【ハーブ系】独特の匂いと清涼感が特長。呼吸器によい影響がある。
【柑橘系】みずみずしく爽やかな香りが特長で、気分をリフレッシュするのに役立つ。