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1万年前から加熱調理をしていた?!

人類の祖先も料理をしていたことが発覚

人類の歴史は「火」の歴史と言われることもあるように、人間が他の動物と違った進化をしていく大きなきっかけとなったのは自由に火を扱うことができるようになったことと言われています。

現在までの研究によると人類の元祖となった生物が急激に脳のサイズを大きくしたとされるのは今から約180万年前であり、その進化には加熱調理が大きく関係しています。

人類の祖先と考えられている生物は「ホモ・エレクトス」ですが、これが180万年前~60万年前までの間に脳のサイズを2倍に進化させています。

ホモ・エレクトスはよく人類の進化を説明する図の最初の方に描かれているので見たことがあると思いますが、ちょうどゴリラと人間の中間のような見た目をしています。

霊長類と分類されている比較的知能の高い動物にチンパンジーやゴリラなどがありますが、それらの動物は人の体のサイズと変わらないかむしろより巨大な体格をしているにも関わらず脳の大きさは遥かに小さく作られています。

しばしばチンパンジーやゴリラが非常に賢い行動をとっている様子が紹介されますが、どれほど人間に近い行動をする大型類人猿であっても火を使いこなすことができている動物は人間以外にはいません。

火を使いこなすということ自体に高い知能が必要ではあるのですが、それよりもむしろ人の脳を大きく発達させたのは火を使った加熱調理にあるのではないかと言われています。

加熱調理食べることで脳に起ること

人類のもととなる生物が具体的にいつから加熱調理をするようになったかについてははっきりした時期はわかっていませんが、人類として文化を形成するようになった約1万5000年前には肉を焼いて食べる習慣が当たり前になっていたという記録が残されています。

肉だけでなく食べられる植物を煮沸して食べていたということも遺跡によって明らかになっており、これは農耕文化が始まるよりもかなり以前からのことです。

栄養学の観点から見ても、加熱をした食品はそのままの状態で食べるよりも栄養価が高く、食べやすい状態となります。
食材を食べやすくすることによりより多くの食品や栄養分を摂取することができるようになるため、これが人の脳を大きく進化させた理由と考えられています。

他にも食品を加工する技術が高くなったことにより、一日の時間を食事のためだけに費やすことがなくなったので知能活動を広く行うことができるようになったことがさらに人を進化させていったということでしょう。

現在ではむしろ原始的な未調理の食品を多く摂取した方が健康によいという言説も出始めていますが、それは加熱調理技術が高くなりすぎたため、むしろ人体に有害な糖分や脂肪分を多く摂取してしまうことになったからです。