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卵とコレステロールの関係について

「卵は一日一個まで」は本当か?

健康診断で気になる値の一つがコレステロール値です。
中年以降になると血中のコレステロール値が上昇しやすくなり、高くなることで心筋梗塞などの血液ドロドロ化による病気のリスクが高まります。

コレステロールとは人体の中に存在している脂肪分の一つで、これは体質に関わらず必ず存在します。

人間の細胞膜を作るために重要な存在なのですが、体内で増えすぎることで血液によくない影響があるとされてきました。

特にコレステロールを多く含む食品である卵は、食べ過ぎるとコレステロール値が高くなるとして危険視される傾向がありました。

しかしここ最近になってそんな「卵=コレステロール値を上昇させる危険な食べ物」というのは間違いであるという研究が出されるようになってきました。

もともとこの言説を支えていたのは、厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」です。
この基準によるとコレステロールの摂取は成人男性ならば0.75g未満、成人女性なら0.60g以下までが一日あたりの摂取量とされていました。

鶏卵1個(50~60g)あたりに含まれる量で換算すると0.2~0.24gなので、一日では2個以上食べるとオーバーする計算になります。

そんな「日本人の食事摂取基準」ですが、実は2010年からの改訂版ではコレステロール値の基準が撤廃されています。

これは最新の研究では卵のコレステロール値と健康への影響に十分な科学的相関関係が認められなかったということによっています。

なぜコレステロール制限が撤廃されたのか

それまで常識であるかのようにされてきたコレステロール摂取の制限が突然なくなったのは、そもそも体内にあるコレステロール量は食品としての摂取ではなく体内で生成されているものが大半であることがわかったからです。

食事によって摂取するコレステロール値はごくわずかであるのに対し、8割以上は肝臓などで作られています。

仮に食事によって大量のコレステロールを摂取したとしても、肝臓でその分量が調節されるので、バランスコントロールは食事内容よりもむしろ肝機能に由来するということになります。

逆にコレステロール値の上昇を恐れるあまり卵などのコレステロールを含む食品を制限することで、体の細胞をつくる大切な原料が不足することになりむしろ悪影響を及ぼすということもわかっています。

それにコレステロールは低いほどよいというわけではなく、体内の値が低下してしまうことで欠陥の細胞膜が脆弱になってしまったり、性ホルモンの分泌が抑制されて老化が促進したりします。

極端なコレステロール制限をすることでガンの発症率が5倍になるという結果もあるので、食品におけるコレステロール摂取は特に気にすることでないというのが現在の定説です。