統計が分かると世の中が違って見えてくる
現在の世の中の動向を知るためによく使用されているのがアンケート調査です。
「満足度○%」といった宣伝文句は物品の購入やサービス業で多く見かけるものですし、統計によって出された数字というだけで世間的に強い説得力があります。
ですがここ最近ではそうした統計を宣伝目的に行う団体もあり、必ずしも統計で出された数値が正しく実態を示すものではないケースもあるものです。
まず統計とは何かということから簡単に説明をしていくと、世界最古の記録として残されているのが1662年のジョン・グランドによって作成された「生命表」です。
これは教会に残された死亡記録をもとに、特定の社会現象と人の死との関連性があるということを明らかにしたものでした。
現在も生命保険や損害保険の保険料の料率を決定するためにこの生命表のような計算は求められており、最も業務と統計が密接に関わる業種と言えるでしょう。
大学でも統計学を一つの講座として開講しているところは多く、そこで最初に学ぶのが「手持ちのデータの最適な使い方を学ぶ学問」であるということです。
統計学とセットになっているのが確率で、手持ちのデータをつかって一定の傾向を発見することにより、そこから未来に起こることを確率として算出するということまでが一つの手法になっています。
統計を悪用した手法にも注意をしておきたい
統計学は、普通の日常生活を送る上において必ずしも必要な知識ではありません。
ですが情報が簡単に手に入る現代においては、統計学の基礎を知っていないことにより、統計学の悪用に巻き込まれてしまうという可能性があります。
統計そのものは一見客観的な計算式なのですが、それを計算する人の主観により場合によっては、事実とは全く異なる結果として表示されてしまうこともよく見られるのです。
よくある例え話として「殺人者の傾向を調査したところ、全員がパンを食べたことがあることがわかった」というようなものがあります。
統計を出す時の数式として平均を出すというものがありますが、このときの数式は「平均=(データの値の和)/(データの数)」となります。
ここまでは小学生くらいの算数レベルでも理解が可能ですが、そこに分散として「分散=Σ(データの値-データの平均)^2/(データの数)」という計算式が必要になります。
分散とは、取得した数値データのバラ付きがどのくらいあるかということを示す指標であり、これが明確でない場合は平均として出される数値は実情と異なるものとして表示されてしまうことが多いのです。
マーケットや世論誘導においてはこうした分散を意図的に明らかにせず、実態ではない値が表示されてしまうこともあるので注意しましょう。